取締役の上司が騙されて解決困難だった専用水道掘削工事の詐欺事件

私が人事部長になって困難な仕事の一つに挙げられるのが、詐欺事件の解決です。

これは私が詐欺に引っかかったのではなく、私の上司の鳥視野利益が引っかかった専用水道(井戸水)掘削工事に関する詐欺事件です。

しかも私は、この詐欺事件が発生するかなり前から、上司の取締役に何度もあんな胡散臭い業者大丈夫なんですか?

困難な仕事の一つに挙げられるのが詐欺事件の解決

と進言していたのですが、この取締役からは、信頼できる担当者だし業者だ。

取締役は私の忠告を無視

との一点張りで、私の忠告は無視されてしまいました。

私としては、自分の仕事ではないですし、上司の取締役がそこまで言うのなら、それ以上口出しする権利はない。

と思っていたので、それ以上は強くは言いませんでした。

そして、その業者との工事が始まって、1年数か月が経ったころ、この取締役の行動が明らかにおかしい時がありました。

何か心配事があるような感じだったので、どうしたんですか?

と聞くと今は言えないんやけど、専用水道の掘削業者とトラブルが発生したと告白されました。

専用水道掘削工事の2重契約で1700万円の詐欺事件

あんな胡散臭い業者と仕事をしていたらトラブルも発生するわな。

散々、取締役に大丈夫ですかあんな胡散臭い業者と取引してと確認したのに。

と心の中で思いましたが、どうしたんですか?

と聞いてみると具体的に教えてくれました。

A社からもB社からも1700万円の工事代金を請求

よくよく聞くと、どうも悪質な相手に嵌められて、同じ専用水道の工事の契約書をA社B社の2社で同じように交わさされて、A社にすでに支払った工事代金をB社からも同額の工事代金を請求されているという事でした。

額にして1700万円です。

そして、弁護士事務所から派遣された法律に詳しい従業員が、B社にこの件を解決する為に出向しているとの事。

そして、そのB社に派遣された弁護士からの依頼で、A社を訴える為に、今回の工事代金に関する状況を記した文章に、同窓会に出席する為に県外にいる取り締まりを訪ねていくので、その文章を証明するための捺印してほしいと頼まれている。

取締役であるあなたを助ける為に、そして、B社がA社から工事代金を回収する為に協力して欲しい。

と言われているので会う予定である。

A社とB社はグルで完全に詐欺事件だと伝えるが

と取締役から説明を受けたのですが、私はこの話を聞いて、すぐにA社とB社はグルだな。

グルになって、のんきな取締役を嵌めて、法人や取締役個人からお金をだまし取ろうと考えているな。

と確信が持てたので、そのことを取締役に伝えました。

これは完全に詐欺ですよ。

詐欺業者にカモにされかかっていると。

ところが、全く相手の話を信じてしまって、私の話は聞き入れてくれませんでした。

なぜ味方ではなく敵の話を信じるのか

なぜ味方ではなく、敵の話を信じてしまうのか、まったくもって残念な話でした。

しかも、そのことを社長に報告したのか確認したら、時期が来たら自分から言うので黙っていてほしい。

という事でしたが、私としては取締役が相手の文章に署名捺印してしまったら、かなり不利な状況になると思いました。

なので、そんなことは出来ないし、相手の言いなりに動いたら、これまで以上に不利な状況になりますよ。

伝えたのですが、これまた聞き耳を持ってくれませんでした。

詐欺事件を隠していた取締役に社長に報告すると伝えると

ただ、私としてもそこまで話を知っていて、知らんふりをしていたら、同罪になります。

なので、土曜日と月曜日に取締役に電話して、最終的に、もし、月曜日に取締役がこの件を社長に報告しないのであれば私が報告する。

と伝えました。

すると観念して、取締役から社長に報告する事になって、専用水道掘削工事に関する詐欺事件が明るみに出る事になりました。

そして予想していた通りの結果になったのですが、この対応は、人事部長である私が窓口になって、対応する事になりました。

(社長には、困難な案件で、今のところ解決できる自信はないが、出来る限り努力しますと伝えました)

詐欺業者はわきの甘い弱い取締役を狙ってくる

まず、はじめの仕事は、取締役に相手と対応させないことです。

相手も騙しやすい言いなりになるのんきなわきの甘い取締役を狙ってきます。

そこをつかれたら元も子もありません。

窓口は私になったという事を相手の弁護士と名乗るものに伝えて、取締役には、携帯電話がかかってきても無視するように依頼しました。

すると取締役と話をするからと相手も私と話すことを避けようとしていることが分かりました。

なので相手の弁護士を名乗るものからは取締役の携帯電話にじゃんじゃんがかかってきたようです。

取締役は何回も電話がかかってきてかなわないし、電話番号を変えようかなとぼやいていました。

相手にビビっているのでしょうが、情けない話です。

今まであんなに仲良くしていたのに。

B社が雇った弁護士事務所を通じて工事代金の支払いを請求

そして、その後は取締役と直接コンタクトを取れないことが分かると、相手からB社が雇った弁護士事務所を通じて、工事代金の支払いを求められました。

何が取締役を助けるために署名してほしいですか。

やっぱり、お金をわが社に請求することが目的だったという事です。

なので、こちらも本物の弁護士事務所に依頼して、A社に支払ったので払わないと回答をしてもらいました。

するとB社から契約書を交わして工事をしているし、A社とB社は全く関係のない会社なので、支払わないと法的な手続きを取る。

と弁護士事務所を通して文章が来たので、このA社とB社の関係を探る為に、A社 、B社の謄本を取得すると意外な事実が分かりました。

謄本を取ると2社がグルである事が分かる

それは何度か事務所を移転しているのですが、A社のあとに、B社が入ったり、B社のあとに、A社が入っているのです。

よって、謄本を見ただけで、かなり関係が深い事が分かりました。

その事を弁護士に伝えましたが、これだけの証拠では動けない様な感じでした。

頼りにならない弁護士事務所は当てにせずに自分で調査する

そして、その部分を調査すれば、確実にこちらが有利になるのですが、弁護士事務所が動く気配はありませんでした。

弁護士事務所って本当に頼りになりません。

確実に有利になるものがあるのに。

このA社とB社がグルであることを証明しないと、わが社は裁判で負けて2重で工事代金や料金を支払わされるのに。

これでは、折角のチャンスも水の泡です。

仕方ないので、自分で動くことにしました。

その実態を調べるために、謄本に住所が載っていた私が住む県内の事業所や大阪や兵庫の事業所まで行って、事務所の写真を撮ってきました。

(取締役に一緒に行きましょうと言うと、怖いから人事部長である私と課長で行くように言われました。

これには私も流石に腹が立ったので、私やって行きたくないし、課長だって嫌だろう。

でも、私は立場上いかないと仕方ないと思っているし、これは取締役がまいた種だから自分で責任を取ってください。

部下に自分の失敗を押し付けて逃げないでください。

といって、私と取締役で対応しました。

現地の集合ビルの中に入って詐欺業者の事務所の写真を撮るときも、取締役は怖いから行かないというのですが、足手まといの取締役と一緒に中に入るよりも、空手道場で監督をしている私だけで行くほうが万が一の時にも逃げやすいので、その点は了解しました。

ただ、一人で中に入るのは、私でもちょっと怖かったです。

相手が一人二人ならどうにでもなると思っていても、大人数で抑え込まれたらどうしようもありません。

取締役には帰ってこなかったら警察などに電話するように依頼していました。)

A社とB社がグルである確実な証拠をつかむ

するとやはり考えた通り、同じ建物の看板の中にA社、B社の社名が入っていました。

その証拠を弁護士に渡し、相手にA社とB社はかなり濃厚な関係で、善意の第三者とは言えないという内容の文章を作ってもらって送りつけてもらいました。

弁護士は、このA4の文書を私が調べたとおり書いて、送るだけで5万円請求してくるのでボロい商売です。

多くの司法試験の浪人生が何年も頑張って勉強するのはこのような特権があるからでしょう。

10年ぐらい浪人しても十分に元が取れてお釣りが返ってきます。

脅しまがいの文章が来たので警察に相談

すると相手もいたいところをつかれたのか、その後は弁護士事務所を通さずに自社で作った文章で、何月何日までにB社に工事代金が支払われないと設備をすべて破壊しに行く。

という内容のものが届きました。

こういう脅しまがいの文章がくれば、後は、警察に頼めばいいだけです。

(実力行使に来る文章が来た時点で、相手も打つ手がなくなったのだろうと推測できました。

理屈的にはこちらの勝ちです。)

その文章をもって、警察に事情を話したら、もしこの業者が来たら、すぐに警察に連絡してください。

直ちに対応します。

と言う心強い回答を得ました。

従業員に破壊行動の動画を撮影するように指示

そして、従業員に対して、もしかしたら、B社に関連する人間が来て、専用水道の設備を破壊するかもしれない。

来た時は、職員がその行為を止めるのではなく、止めるのは危険だから、その行為を証拠として、写真やビデオを撮影するように。

同時に警察に通報するよう。

に指示しました。

そのことを文章でB社に通告したら、それ以降音沙汰はありませんでした。

これで何とか前代未聞の詐欺事件を解決する事が出来ました。

大変困難な案件でしたが、この案件を処理した事で困難なことでもやればできるなと自分の自信につながりました。

取締役が個人的に詐欺業者にお金を貸していることも発覚

これは後日談ですが、取締役がこの業者の担当者に個人的にお金を貸していることが分かりました。

詐欺業者に個人的にお金を貸しているなんて

専用水道の手続きをするのにお金が足りないからと言われて、10万円近くのお金を貸していたそうです。

取締役には工事が進まない焦りがあったのかもしれません。

しかし、まともな業者であれば、手続きに必要なお金を貸してくれなんて言ってきません。

そんなことがあっても、相手を信じていたなんて呑気を完全に通り越しています。

しかも、事件が発覚したあとはあの業者怪しいと思っていたんやと正反対のことを私の前で何度も言っていました。

さんざん私が忠告しても無視したくせに。

私の目には滑稽に映ったのですが、私だったら穴があったら入りたいぐらい恥ずかしいことです。

私はこの詐欺事件を無事解決した報奨として、基本給が5万円上がりました。

苦しい案件を解決したご褒美を全く期待していなかったので、これは非常に嬉しかったです。

苦しかった思いなんて吹っ飛んでしまうぐらい喜びました。

わが社の社長ってお金の使い方が非常に上手です。

心から次回もトラブルがあったらわが社の為に頑張ろうって思いましたもの。